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5月に入り、今日の日差しの高さに比例し、気温も高い。何気に5月が一番日差しが強いと言われている。ジャケットを着ていると暑く感じる。通常は5月からクールビズだが、何に関しても古い考えのこの国では、軽装しているとお客様は難色を示す。
客先に出向くにはスーツとネクタイは必須だ。汗をかきながら無理に上着を着ているほうがお客様に対して不快な思いをさせる要素が強いようにしか思えない。スーツの発祥は英国だ。あそこは寒いからいつでも着れるが、ここは日本だ。
客先へ宣材と共に晴海通りを歩き、じわりとした汗をぬぐう。今日も平日昼間というのに人通りが多い。そして左手の有楽町マリオンを通りかかる。
マリオンの時計をチラリと見上げる。時刻は14時半を指している。
「……」
この大時計を見るといつも思いだしてしまう。ネオン輝く喧騒の中、待ち合わせの時刻を確認するあの日の自分を。
そして、銀座に来るとどうしても姿を探してしまう。
もう、あれから10年以上経つというのに。
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