心地のよい午後の風に香る

「Spring Blues」

　イベント企画会社経営、間野拓海(マノタクミ)。すでに既婚で結婚3年目、来月で40になる。この間まで遂に30代か！　と思っていたのも束の間、気づけば40。年々、時間が経つのが早く感じる。子供はいない。
　妻の結香(ユウカ)は28歳で年の差はあるが、ジェネレーションギャップは出会った頃から感じたことはなかった。結香は色々と昔のカルチャーが好きなせいもあれば、今も昔もB’ｚの熱狂的ファンで理想は稲葉という。元からオッサン好きなんだろう。
　特に若い女性が好きなわけではない。ただ、選んだ相手がたまたま、付き合い始め当時21だったということ。

　しかし、これだけ不景気で余分なものを省いていく風潮の中、余分なものこの上ないイベントの企画おろか、提案すら厳しい状況だ。
先々月にロスで押し付けられたバスケアクロバティックショーも、売れれば招聘する人数も大人数になる為、多くの収益は得られそうだが、コケる予感しかしない。
売り込み熱心なスティーブには色々よくしてもらっていたために断ることはできない。でもだからといって当然リスクは最小に考えなければならない。単価を上げ、粗利を多めに見積もってるから、買い手がなかなかつかない。この調子だと、スティーブには残念な報告をすることになるだろう。
まあ、運よく決まったら決まったで、スポンサーや箱探しでとても一人でできそうもない。もともと気の乗らない商材ではある。