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真夜中、僕は家族が寝静まる頃を見計らって布団から這い出した。
周囲に耳を凝らしながらテレビをつけると、飛び込んできたのは目を刺すような光。それと同時にスピーカーから音が飛び出して、慌ててリモコンのミュートボタンを押した。
イヤホンを左耳だけ突っ込んで、少しずつテレビのボリュームを上げていく。右耳は、家の中の音を探っていた。
高校一年生の僕にとって、初めての夜更かしは何もかもが新鮮だった。
下品なお笑い番組で腹を抱えて笑い、よくわからない旅番組で感動し、明日襲ってくるであろう睡魔を思い浮かべてワクワクしていた。
僕は退屈していたんだ。
なにか悪いことがしてみたかった。スリルや罪悪感を求めていた。
暗い部屋で一人、僕はそれを思いきり噛みしめた。時計の針が進めば進むほど、罪の味は甘くなり、癖になる。
僕が求めていたものが、全てそこにあった。窓を見ると、ぼんやりとした明かりの中、親の言うことを聞かない高校生、反抗的でだらしない男子がそこに映っていた。
――このまま朝まで、起き続けてやろうか。
僕は夜が醸し出す甘く危険な香りに憑りつかれたように、テレビを見続けた。
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