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ep0.5 【誰が為のホログラフ】
きっといつか治る。きっといつかみんなと同じような青春を謳歌できる。だから今を乗り越えれば、きっと良い未来が待っている。
私の中にいる誰かが、そうやって応援してくる。でも、時が経つにつれてそいつはものを言わなくなっていった。現実という魔物に食われてしまったのかもしれない。はたまた、理想という怪獣に沈められてしまったのかもしれない。
可哀想な人生だと他人は言うだろうか。でも、可哀想かどうかを決めるのは自分だ。
だから私はまだ、自分のことを可哀想だなんて思わない。思ってなんかやらない。むしろ抗ってやろうと考えている。
私がこの人生の主役となって、生きていくために自分で自分の道を進んでいくのだ。だから強くならなきゃ、いけないんだ。
もっと強く、全てに耐えられるように……つよくつよく、強く。
醜い意地だってもいい……絶対ワニの涙になんか、屈するもんか――
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