九月 十七日

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九月 十七日

 綺麗な景色を見た。それはとても心に残り、私にそっと寄り添ってくれる、そんな懐かしい景色だった。諦めかけて、苦しんだ私の心が惨めに思えるほどに。    人に愛されることなく、人を愛することなく。一人になりたかった私に、独りじゃないと教えてくれる。彼との時間は、とても居心地がいい。バカな言葉も、感動の言葉も、沈黙という言葉さえも。時間を忘れるという感覚、とても快感だ。少しの気怠さも忘れられた。  受験することに抵抗はあった。「勉強する意味なんてないんじゃないか」「私には、先の人生なんてあるはずもない」「知りたいことも、楽しいこともない」こんな中途半端な気持ちで、人生を決めて良いのだろうか。夢も希望も持たない私なんかが、生きてて良いのだろうか。いずれはこの時のことを、後悔するのだろう。
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