プロローグ

3/3
前へ
/7ページ
次へ
放課後。部活にも入らず特に友達もいない私はいつも通り一人だ。 正門から出るとカップルに嫌気がさすので私は裏門から出るのを好む。 正門よりは静かな門を抜けて歩道に出る。 少し行くとあっという間に大通り。 人と車が行き交う日本の中心。 中学までの友達はみんな羨ましいと言うが住んでみるとそうでも無い。 うるさい 一言で言うとこれだ。 前の場所は聞こえるのは品のある鳥の声、川の音、子供たちの笑い声。 今はバイクに車の音、若者のバカ笑い、泣き叫ぶカラス。全てが騒音だ。 信号を待ちながら私はイヤホンを取り出す。 Bluetoothで音を飛ばし耳にはめる。 ピヨ ピヨピヨ 信号が青になる。 周りの人がいっせいに動きだし私も横断歩道へ一歩踏み出す。 その瞬間音が消えた。 先程まで聞こえていたカラスの声。どこから聞こえるヒット曲。赤ちゃんの泣き声。子供の笑い声。 なんだか不安になり、私はイヤホンを外して目を開ける。 そこには知らない町が広がっていた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加