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12.嫉妬
巧は、じっと自分の手の上の花を見つめた。そして、そっと二つ重ねてポケットに入れた。
「ゆい⋯⋯、ごめん。勝手に嫉妬して、嫌な態度とって」
下を向いているおれの体を、巧がぎゅっと抱きしめた。巧の汗のにおい、胸の鼓動。鼻の奥がつんとする。
「⋯⋯嫉妬?」
巧が小さく頷いた。
「唯のこと見てるやつ結構いるんだ。それに、1年からケーキもらってた」
「ケーキ?あれは、部活用だって言ったじゃん」
「⋯⋯そう思ってるのは唯だけだ」
へ?
びっくりしていると、巧が体を離して手首のサポーターに触れる。
「御園が言ってた。⋯⋯痕になってるって。本当にごめん」
「もう薄くなってるから平気」
巧がおれの腕をとって、サポーターに唇を当てる。
どこからか、唸るような低い騒めきが聞こえた。
二人で部活をさぼった。
今日は誰もいないから、と家に巧を誘ったのはおれだ。
ベッドの上で、巧がおれの体を押し倒す。巧の息の熱さに、体が急速に熱を持つ。
切なげに見つめてくる瞳がきれいで、両手を伸ばして頬を包んだ。
「巧はさ、気持ちを言葉にしなさすぎ」
「⋯⋯ゆい」
「やっぱり、口で言ってもらわないとわかんないから」
頷く恋人に、おれは自分からキスをする。舌を唇の間からぬるりと入れれば、すぐに絡めとられる。
巧の指先が、シャツの上から体を撫でる。胸に触れられて体が跳ねた。
──たくみ、巧。
キスが気持ちよくて、巧に触れられるのが気持ちいい。
「ふ⋯⋯う⋯⋯」
巧の首に腕を回して、お互いの唇を貪り合う。
シャツのボタンが器用に外されて、中に着ていたランニングの隙間から指が忍びこむ。小さな乳首をくりくりと弄られれば、腰が揺れた。
「ん!っんッ」
唾液を呑み込んで、絡めていた舌が離れる。巧はおれから体を離して起き上がる。次々にシャツもランニングも脱ぎ捨てた身体は、しなやかできれいだ。腹筋の割れた部分を、指を伸ばしてなぞる。
「⋯⋯ッ!ゆ⋯⋯い、脱いで」
押し殺した声で囁かれて、ぞくぞくする。巧の目の奥にある滾る熱、あれが欲しい。
おれは、身に付けていたものを全部脱いで、巧に向かって体を擦り付けた。
その途端、巧は俺にのしかかってきた。
「んっ!あ、あっ!!」
巧の大きな手が、おれと巧のペニスを合わせて激しく扱きあげる。お互いの先走りがとろとろと溢れて滑りがいい。熱くて大きな巧の雄に、自分の雄が必死で絡みついている。それを目にしたら堪らなかった。
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