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7.雨に咲く花
「⋯⋯たくみ、だめぇ!」
イったばかりのところに、巧のペニスが押し入ってきた。自分の中が、きゅんきゅんと巧に吸いついていくのが分かる。
「唯、あ、いい! すっごくいい!!」
「ああああああ!!」
巧が奥まで突き入れた瞬間、頭の中が白くなり、足の先まで快感が走った。
限界まで膨らんだ巧の中から精が激しく迸る。たった今、精を出したばかりの巧のペニスがすぐにまた中で大きくなった。水音がして、巧が抜き差しするたびに、後孔から白濁がこぼれ出ていく。
「唯、ああ、ゆい、好きだ」
「たくみ、たくみ、すき」
子どものように名前を繰り返しながら、おれは何度も奥の奥まで貫かれる。
快感を感じる以外のことは何もできず、ただ巧の熱だけを感じていた。
「⋯⋯巧。どうして朝顔くれたの?」
「牽牛花」
「けんぎゅうか?」
「そう、朝顔の別名。今日は七夕だろ。朝顔が咲いたら、織姫と彦星が会えた印なんだって。そんな話を聞いたから、いいなって思ったんだ」
「⋯⋯そうなんだ、知らなかった。雨が降ったからって会えないままじゃないんだ」
巧はおれを抱きしめたまま、こくりと頷いた。
「それに、白い朝顔の花言葉が気に入ったから」
「なんて言うの?」
耳元でぼそぼそと呟く声に、思わず微笑んだ。
「⋯⋯うん。すごくいいね」
「そうだろ」
「今度、折り紙で折ってくれる?」
「⋯⋯唯が欲しいなら、いくらでも」
おれは笑って巧にキスをした。巧がふざけて顔中にキスを返してくる。
おれたちは抱きあいながら、指に指を絡めあった。
部屋のガラステーブルの上で、白い朝顔が咲いている。
朝顔の花言葉は、愛情。
──白い朝顔は『固い絆』
また雨が降り始めた音がする。
「雨でも、どこかで二人は会えたんだね」
「きっと、な」
巧の腕の中、雨の音が優しい優しい音に変わった。
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雨ばかりの七夕にささやかな祈りをこめて。
二人の話は、また機会がありましたら。
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