勇者の血を引く末っ子

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「無いことは無いがなかなか難しい方法じゃぞ?それでもやるかの?」 「それで今よりも強くなれるのなら。」 その答えを聞くとママはにっこりと笑い一つの方法を話し始める。 「これは昔儂が編み出したやり方じゃ。そもそもノアのやり方は魔族でも一部しか出来ん特殊なやり方じゃ。」 え、そうなの?結構ノリでやった部分が大きいんだけどあまり褒められたやり方じゃないのかな? 「そこで魔族が考え出した合成魔法のやり方がこれじゃ。」 ママはそう言うと右手に炎を出す。そして左手に風の玉を出す。 「マオ今の儂の状態は理解できるか?」 「えっと・・・片手ずつ違う属性の魔法を出してるんだよね?」 「そうじゃ。左は火属性、右は風属性の魔法を別々に出しておる。そしてこれをこうじゃ!」 ママは両手を合わせるようにする。すると先程まで別々の魔法だった二つが混ざり合い巨大な炎の球と変化した。 「うぉあお!!?」 唯一驚いたのはパパだった。いやそこまで変な声を出さなくてもと吹き出しそうになったがボクもマオ兄も目の前で起こった出来事が衝撃的すぎて反応が出来なかったのだ。 「ったくいつ見てもすげえけど流石に家の中でそれはやめろよな。」 「すまんすまん。でも見せてやるのが一番手っ取り早いかと思っての。」 確かにその通りだけど心臓に悪いよママ・・・ 隣を見るとまたもやマオ兄は自分の世界に入っていた。 「左手と右手別々の魔法を出す。そして合わすのか・・・」 おもむろに両手を前に出したマオ兄は無詠唱でまず左手に炎を出した。 「マオお前既に無詠唱が出来るのかよ!?」 「フフン儂の指導を舐めるでないぞ?」 マオ兄は余程集中しているのか二人の会話が耳に入ってないようだ。 「そしてこっちも。」 次は右手に風の玉をまたもや無詠唱で発動させる。 これにはママが驚く。 「マオ見ただけで両手に別属性の魔法を出せるのか!?やはりお主は魔法の天才じゃのう。」 ボクも驚きを隠せなかった。実はマオ兄が魔法を使う姿をちゃんと見るのはこれが初めてだった。こんな簡単に魔族が考え出した手法を自分のものにするのはママの言う通り天才なんだなと思う。
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