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これは例の相手なのか、それとも本当に道に迷っているというのだろうか。
チラッと老人の方に目を向けたが、老人は既に居なかった。
彼の素早い動作は、只者では無いことを表していた。
そして今俺を助けてくれる者は、もう誰も居ないのだ。
「この場所に連れて行って貰えませんか?」
女は俺の目の前に、スマホの画面を差し出した。
地図は路地裏の怪しげなバーを指している。
この時ようやく、女の魂胆に気がついた。
駅前で怪しい行動をせぬよう、他の場所に導いているのだ。
女は俺の目を真っ直ぐ見ている。
俺はゆっくりと頷いた。
もう後には戻れない。
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