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第7話:メールの返事
私が彼女にメールを送ってから、既に1週間以上が経過したが、未だに彼女からのメールは来ない。メールを送った直後は、彼女からのメールを心待ちにしていたが、もう期待しない事にした。Outlookの受信トレイに入ってくるのは、いつのまにか登録されてしまっているメルマガか、スパムメールばかりだ。私は、いつものようににPCを起動し、次にOutlookを起動する。Outlookがメールを受信し始める。メールアドレス、XXXX.sexy@girls.com、hotogirls@sex.com、ilovesex@sexy.comなどなど、怪しいメールアドレスがわんさか表示されている。私は、大事なメールを削除しないように注意しながら、メールの削除を始めた。受信トレイに入ってきた約9割の新規メールを削除し、残り1割に目を通し終えた時、見かけないメールアドレスからのメールが受信トレイに入ってきた。何も考えずにメールを削除しようとした時、タイトルに「織部穂波です。」と書いてあったのを見つけた。でも手馴れすぎている作業のせいか、そのメールを削除してしまった。私は、慌ててゴミ箱フォルダを開き、そのメールを確認すると、そのメールを受信トレイに戻した。
小野行人様
メール、ありがとうございます。
私は名古屋市内に住んでいます。
機会があれば、是非お食事に誘ってください。
お待ちしております。
織部穂波
私は、直ぐに彼女に返信メールを書いた。
織部様
早速ですが、今週の土曜日に名古屋市美術館に行きませんか。
今、印象派の画家の展示会をやっています。
美術館の後に、夕食でも食べにいきましょう。
もしご都合が良ければ、ご連絡ください。
小野行人
メールを送信すると、何だか無性に腹が減ってきた。最近うまいバージンオリーブオイルが手に入ったので、私はシンプルにキャベツとソーセージのペペロンチーノを作る事にした。
最初にたっぷりの水を鍋に入れ、その中に小さじ一杯程度の塩を入れる。お湯が沸騰する間に、ニンニクをスライスし、ソーセージ、キャベツ、玉ねぎを予め切っておく。鷹の爪は、中の種を取って、適当な大きさに指で千切る。次に、大きめのフライパンに、普通のオリーブオイルと玉ねぎ、鷹の爪を炒める。玉ねぎが少し透明になってきたら、ソーセージを入れる。ソーセージに焦げ目が付き始めたぐらいに、キャベツを入れる。キャベツが少ししんなりしてきたところで、ニンニクのスライスを入れて炒める。料理本などを読むと、ニンニクのスライスを最初の方に炒めるが、ニンニクが焦げると美味くないので、私は後の方にニンニクを入れている。邪道なのは充分承知のうえだ。ニンニクの色が飴色に変わってきたところで、顆粒のコンソメを小さじ半分ぐらい入れて、フライパンの火を止める。お湯も沸騰してきたので、パスタを鍋に投入する。湯で時間は12分と書いてある。私は、タイマーを10分にセットする。パスタ同士がくっつかないように、ゆっくりと鍋を混ぜる。泡が吹き上がって来そうになるので、急いで火を弱める。暫くすると、硬かったパスタがしだいに柔らかくなってくる。だいぶパスタが柔らかくなってきたなと思った頃にアラームがなった。パスタを1本鍋から取って食べてみる。ちょっと、芯が残りすぎている。私は、もう少しだけ茹でる事にした。喉が乾いたので、冷蔵庫からトマトジュースのペットボトルを取り出して、マグカップに注いだ。マグカップのトマトジュースを一気に飲み干す。それからパスタを一本取り出して、食べてみる。
まだちょっと芯が残っている感じがするが、このタイミングでフライパンに移すのがベストだと思い、パスタを金属のザルにあげる。そのパスタをそのままフライパンに投入する。火を一番強くし、パスタと具材を一気に絡める。いい感じに、全体が馴染んだところで、バージンをオリーブオイル、塩、ブラックペッパーをかけ、味を整える。これで出来上がりだ。
私は、パスタを大きめの皿に移すと、テーブルに置いた。冷蔵庫から、ミネラルウォーターのペットボトル、粉チーズ取り出して、テーブルの上におく。先ほど使ったマグカップをさっと洗って、テーブルの上に置く。私は、テーブルの定位置座ると、両手を合わせ「いただきます」と言ってから、スパゲティー口に放り込んだ。我ながら、うまいと思う。でも、ちょっと物足りないので、粉チーズをかけてから、スパゲティーを頬張る。やっぱり、粉チーズをかけた方がうまい。私は無心にパスタを食べた。
腹も膨れ一段落した。ふとPCのモニターを見ると、「小野行人様」という題名のメールが来ているのを見つけた。
小野行人様
是非、美術館にご一緒させてください。
時間と待ち合わせ場所は、どこにしますか。
ご連絡お待ちしております。
織部穂波
私は、名古屋市内には詳しくないので、どうしたものか考えながら、鍋や食器を洗って片付けた。濡れた手をタオルで拭くと、モニターの前に座った。どうしようかと思ったのだが、正直に書くことにした。
織部様
名古屋駅構内の高島屋の入り口付近で、どうでしょうか。
どの入り口か指定できれば、良いのですが、うまく説明できないので、
適当な場所にいてください。私が探しますので。
時間は、14:00にしましょう。
小野行人
まあ、待ち合わせ場所はどうにかなるだろうと思いながらも、場所が不明確なので、ちょともやもやする。そんな事を思っていると、メールが入ってきた。
小野行人様
土曜日の14:00ですね。
美術館は久しぶりなので、ちょっと楽しみです。
場所は、金時計の前にしませんか、エスカレーターが近くにあるので、
直ぐにわかると思います。
織部穂波
私は、直ぐにメールを返した。
織部様
金時計の前ですね。
おぼろげな記憶しかありませんが、なんとか探します。
では、今週の土曜日の14:00にお会いできるのを、楽しみにしています。
小野行人
やっと、すっきりした。後は、夕食を何処にするかだな。私は、インターネットで、良さそうな店を探し始めた。
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