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 翌日。秋雨のようなジトジト雨が朝から降った。寒々しい降り方だった。最近は冬のせいでただでさえ、外の景色がグレー色に覆われているのに、更にそれに拍車がかかる。冷気をいつも肌で感じていた。  それも仕方がない。朝一番に予定通り、雨女先生の診察だったから。まずはナナちゃんの診察だ。そしてスタッフは今日は、全員が出勤。  診察台の上でエコーをお腹に当てる。前回と同じように、膀胱の近くから子宮を追って行く。ナナちゃんは大人しくなされるがままに、その指示に従うように診察台の上で大人しくしている。  他の猫達は今日は鳴かなかった。空気を読んだのだろう。見守るように遠くからこちらを見ていた。 「あら、五匹お腹の中にいる」
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