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 雨女先生が目を見張る。この前見たときと違う数字になった。これがナナちゃんの、最終診察になる。モニターでは、お腹の中に五匹の影が映っていた。ナナちゃんは最近は歩き方も怠そうだったし、いつも横たわっていた理由も理解した。相当重いだろう。 「骨もしっかり出来てるし、問題なさそう。頭が骨盤を通るか計測してみたけど、これも問題ない」 「そうですか……」  モニターを見ながらドキドキした。猫の出産を見るのは、初めてだからだ。 「心配しなくても大丈夫よ」  雨女先生は、心配そうな表情の私を見て察しつつ、続けた。 「猫の出産は、人間が力を貸すことなく産まれてくることがほとんどだから。逆子の心配もないし、大丈夫だと思う」
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