止まり木

第1話: 微睡みなかで（女)

目覚めると、彼の背中があった。

私は体を彼に近付けると、彼を背後から抱き締めた。

素肌に彼の熱が伝わってくる。

彼の匂いがする。

安心する。

夢見心地になっている私の手を、彼の手が包み込む。

ドキドキする。

彼はゆっくりと寝返りを打って、私の方を向く。

彼は、私のおでこにキスをすると、私をギュット抱き締めた。

満たされていく。

ずっとこのままでいたい。

いつの日か、彼が私の元を去っていくとわかっているのに。