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第3話:朝食(女)
私は彼を起こさないように、そっとベットから抜け出した。
顔を洗い、普段着に着替え、キッチンに立つ。
冷蔵庫から薄切りのハムを取り出し、そのうち4枚をフライパンにのせ、弱火にかける。
それから卵を2個、レタスを1玉、キュウリを3本、プチトマトを1パック、マッシュルームを1袋を、冷蔵庫から取り出した。
軽く火が通ったハムをひっくり返し、その上に卵を2個落とし、蓋を被せる。
レタスは水洗いし、良く水を切ってから、手でちぎって、サラダボウルに入れる。
キュウリは、歯ごたえを楽しみたいので、少し大きめにカットする。
マッシュルームはスライし、プチトマトは、ヘタを取って、良く水洗いする。
キュウリ、マッシュルーム、プチトマトをサラダボウルに入れる。
冷蔵庫から、レモンと粉チーズを取り出す。
サラダボールの上に、心持ち多めに、粉チーズを振りかける。
そして、塩、黒胡椒、白胡椒をかけて、軽く混ぜる。
レモンを半分に切って、果汁をサラダボウルに注ぐ。
そして、サラダボウルをもう一度軽くかき混ぜる。
最後に、バージンオリーブオイルを入れ、かき混ぜる。
コーヒーポットのスイッチを入れる。
それとは別に、マキネッタでコーヒーを作る。
彼の為に。
階段から音がする。
4つ切りの食パンを2つ取り出し、軽く切れ目を入れ、バターを塗ってから、トースターに入れる。
「おはよう」
彼はそう言って、軽くキスをした。
私は、大きめの皿にハムエッグのせると、彼の席の前に置いた。
私は、さっとフライパンを洗い、自分用にハムエッグを作り始める。
マキネッタがコポコポと音を立て始めた。
白い大きめのマグカップを取り出し、マッキネッタのコーヒーを入れ、彼に手渡した。
「ありがとう」
彼は、目を細めてコーヒーを飲む。
「先に食べてて」
彼はサラダ用の皿を2つ取り出すと、最初に私の分のサラダを装い、自分の分を装った。
私は焼きたてのトーストを、2つの皿にのせると、その1つを彼に渡した。
お腹を空かした狼みたいに、彼は勢い良く食べる。
かわいい。
「トーストのお代わりいるでしょ?」
彼は、コクリと首を縦にふった。
食パンを1切れ、トースターに入れて、テーブルに戻る。
「綺麗だ」
彼は、独り言のように呟いた。
「もう少し経つと、花びらが薄いピンク色になって、もっと綺麗になるわよ」
「サクラの事じゃないよ」
「何が綺麗なの」
「あなたです」
彼は目を反らして、顔を紅く染めている。
そんな反応をされると、年甲斐もなく照れてくる。
ああ。こんなにも人を愛おしく思えるとは思わなかった。
ああ。こんなにも、彼に溺れるなんて思わなかった。
ずっとこんな日々が続けば良いのに。
そんな事を願ってはいけないのに。
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