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「ああ、もうこんな時間ね。朝食の時間だし、食堂へ行きましょうか」
話している間にだいぶ時間が経っていたようだ。
学園内の食堂では朝昼晩と三食全て用意されるため、決められた時間に食堂へ行けば、自分たちで作らずとも食事をとることができる。
「そうね。混む前に移動しましょう」
エリーが頷いたのを見て、エリザベートはドアを開け廊下に出る。
彼女に続いて、エリーも部屋を出た。
二人は並んで食堂までの道のりを歩く。
その途中、不意にエリーが足を止めた。つられてエリザベートも立ち止まる。
「どうしたの?」
「ねえ、あれ……」
エリーが指を差したのは、古びた時計塔だった。
レンガの壁に蔦が絡みつき、不気味な雰囲気を醸し出している。
「ああ、時計塔。今は針も取られて、見ての通り廃墟になっているわ」
ちらりと横目で見ただけで、エリザベートは時計塔から視線を外す。
倒壊の危険があるのか、塔の周りには杭が打たれ、ロープが張り巡らされていた。
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