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エリーと目があった鴉が彼女めがけて飛んできた。
座り込んでいるエリーは逃げることが出来ない。
――ガア、ガア!
鴉は彼女の頭上を抜け、飛んでいった。
驚きに目を見開いたままのエリーだが、目の前に転がっているものを見て、声にならない悲鳴を上げる。
「……これ、人の眼球?」
エリザベートが呟くように言った。
鴉が落としていった球状の物体は、ヘーゼルの虹彩を持った瞳で。
それに気付いたエリーは腰を抜かしてしまったらしい。
「ね、ねぇ、リザ。これ、もしかして、アンナの……」
「違うと思うわ。アンナの瞳はヘーゼルじゃなくてブルーだったもの。とにかく、報告に行かないといけないわね。立てる?」
転がった眼球から、エリーは行方のわからなくなっているアンナを想像したが、エリザベートが否定した。
瞳の色が違うと指摘され、エリーはいくらか冷静さを取り戻す。
「ごめん、立たせてくれる?」
頼まれたエリザベートがエリーの手を取って引き上げた。
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