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熱いシャワーを頭から浴び、指でくすんだ金色の髪をかき混ぜる。
汗と血で汚れた金髪は洗い流され、本来の輝きを取り戻した。
備え付けの鏡を覗いたエリザベートは、満足そうに唇を歪める。
鏡のなかで微笑んでいたのは目映い金髪の美少女だった。
「うふ、ふふふ……」
歪んだ笑みを浮かべると、お湯の吹き出すシャワーを口元へ近づけて直接ごくごくと飲んだ。
口の中に残る鉄錆の味を楽しむように、喉が鳴る。
滴る血と生温かい屍肉の感触を思い出しながら、指で唇をなぞった。
「もっと、もっとよ……」
ナイフで肉を裂く感触。吹き出る血液。
芳しい鉄錆の香りと味。
昨夜のことを思い出し、恍惚に震えるエリザベート。
その時、シャワールームのドアがノックされた。
「リザ、シャワー浴びてるの? 顔を洗いたいんだけど」
エリザベートを愛称で呼ぶのは、ルームメートのエリー。
名前が似てるのでよく間違われる、エリーとエリザベート。
だから愛称で呼びあっているのだ。
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