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月のない夜の犯行。
鋭利な刃物で引き裂かれ、血液を吸い尽くされた死体。
「何で新月の夜だけなのかしらね」
「特別な拘りがあるんじゃないかな……犯人にしかわからないような拘りが」
「まあ、危ないのが新月の夜だけなら、その日は部屋に鍵をかけて部屋に閉じ籠っていれば良いもの」
エリザベートはエリーの反応を見て、笑みを深くした。
(新月の夜に拘りなんてないわ。わざわざ街に出なくても、学園内にたくさん獲物がいるんだから)
ただ、むやみやたらに凶行を繰り返せば、エリザベートが犯人だとバレてしまう可能性がある。
連続殺人鬼として捕まれば、衝動の赴くままに血を浴びることが出来なくなってしまう。
エリザベートにとって、それは何よりも耐えがたい恐怖だった。
「私たちに出来るのはアンナの無事を願うことだけね」
エリーの言葉に頷くエリザベート。
しかし、既にアンナが色を失っていることを知っている。
路地裏で死体が見つかるのも時間の問題だ。
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