寄宿学校のリザとエリー

6/10
前へ
/50ページ
次へ
月のない夜の犯行。 鋭利な刃物で引き裂かれ、血液を吸い尽くされた死体。 「何で新月の夜だけなのかしらね」 「特別な(こだわ)りがあるんじゃないかな……犯人にしかわからないような拘りが」 「まあ、危ないのが新月の夜だけなら、その日は部屋に鍵をかけて部屋に閉じ籠っていれば良いもの」 エリザベートはエリーの反応を見て、笑みを深くした。 (新月の夜に拘りなんてないわ。わざわざ街に出なくても、学園内にたくさん獲物がいるんだから) ただ、むやみやたらに凶行を繰り返せば、エリザベートが犯人だとバレてしまう可能性がある。 連続殺人鬼として捕まれば、衝動の赴くままに血を浴びることが出来なくなってしまう。 エリザベートにとって、それは何よりも耐えがたい恐怖だった。 「私たちに出来るのはアンナの無事を願うことだけね」 エリーの言葉に頷くエリザベート。 しかし、既にアンナが色を失っていることを知っている。 路地裏で死体が見つかるのも時間の問題だ。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加