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第2話 『呪縛(トラウマ)』
両親をトンネル事故で亡くした出雲の前に立ちはだかる斬新ざんしんな光景・・・その現実を受け止めるには、あまりにも残酷ざんこくなものだった。両親が託した約束と運命を胸に、出雲は宝刀を守る事、即すなわち後継者としての役目を果たす事を誓ちかう。果たして・・・出雲達に待ち受ける運命とは?
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オレは、あの日から笑顔が消えてしまった。朝起きてからテレビをつけてみると、昨日起こったトンネル事故についてのニュ-スが報道されていた。両親を失ってから・・・すべてが変わってしまった。世帯主は、姉の桃霞姉になり、妹の紗耶香は毎晩泣いてばかりいた。桃霞姉も、紗耶香も・・・冷たくなって安らかな顔をした母さんと父さんの顔を見て号泣していた。
美月・陽助『・・・・・・。』
医者『すいません。全力を尽くしてみましたが・・・すでに手遅れの状態でした。・・・ご臨終です・・・。』
紗耶香『お父さん!お母さん!ウソでしょ?!冗談だって言ってよ!うぅ・・・うわぁぁぁぁぁぁぁん』
桃霞『泣くんじゃないよ!父さんと母さんを無にしない為にも・・・うぅ・・・』
出雲『うぅ・・・・父さん・・・母さん・・・・約束は守るから・・・』
紗耶香『父さんと母さんが死んだ原因・・・そうだ!お兄ちゃんのせいだ!!お兄ちゃんが父さんと母さんと一緒に温泉に行かなければ・・・助かったんだよ!お兄ちゃんなんて嫌い!!父さんと母さんを・・・返してよ!!!』
-バチン-(紗耶香のほっぺたをひっぱたく音)
桃霞『やめなさい!!紗耶香!!一番辛いのは・・・出雲なんだからね!!』
怒り悲しむ紗耶香がオレに怒りと悲しみをぶつけようとするのをビンタで制止する桃霞姉。桃霞姉もまた・・・泣いていた。
出雲『いいんだ・・桃霞姉・・・事実には変わりないから・・・ごめん紗耶香・・・桃霞姉・・・全部・・・オレのせいだよ・・・オレが・・・父さんと母さんを殺したようなもんだよ・・・』
紗耶香『・・・卑怯だよ・・・お兄ちゃん・・・そんなこと言われたら・・・私何も言えなくなるじゃん・・・うぅ・・・うああああああぁぁぁぁん』
出雲『・・・・・・・。』
その日紗耶香はオレの胸を叩いて両親を失った原因である、オレを責め立てるように泣いていた。
ウソだと思いたい・・・だがこれが現実だと思い知らされる。
『妹や姉を安心させるためのウソと真実を告げて現実を突きつける現実』・・・オレの中で悟った『嘘と真実』・・・それは・・・あまりにも残酷なものだった。
父さんと母さんの亡骸を確認した後・・・その日に通夜を行い、話を聞きつけた親戚や親族がぞくぞく集まった。
お坊さん『帰命無量寿如来きみょうむりょうじゅにょらい、南無不可思議光なむもふかしぎこう、法蔵菩薩因位時ほうぞうぼさついんにじ、在世自在王仏所ざいせじざいおうぶつしょ・・・・・』(正信念仏偈しょうしんねんぶつげを唱えて、目をつぶり、お経を読む)
親戚1『この度はご愁傷さまでした。辛いでしょうが、みんなで力を合わせて頑張っていきましょう。』
その夜・・・お通夜が無事終わり、葬式の準備と手続きを終えた桃霞姉の顔は、泣きすぎて目が赤くなってくまができていて、少しやつれているかのように見えた。
翌朝、オレは学校に連絡して休ませてもらった。桃霞姉と紗耶香は両親の葬式そうしきの準備に追われ、朝10時にはすでに親戚や友達、亡くなったことを聞きつけた人達が参列して供養に来ていた。その後に後片付けをして、無事両親の遺骨を焼いてもらった。紗耶香から笑顔が消えて、オレを憎にくんでるような顔をしていた。桃霞姉はひどく疲れている様子だったが、聖華は結局お通夜も、葬式にも顔を出さなかった。
そのあと、オレは気分転換に北島家の神社に咲いている、桜の樹を見に行った。晴天で穏おだやかな北風が流れ込み、桜の花びらが風に舞っていた。
出雲『いい風だな~こんなにいい天気だと、眠たくなりそうだわ。ふぁ~・・・』
オレは眠たくなってしまって欠伸あくびをしてしまい、桜の樹の下で横になってしまった。
その時、ふと社やしろの祠ほこらの方へ目をやると、巫女服を着た小さな少女が見えた。
出雲『ん?』
少女『・・・・・』
出雲『君は誰だい?』
少女『・・・(ニコッ)』(笑顔になる)
出雲『あ、ちょっとまって!君は一体・・・・』
少女『・・・・・・』
謎の少女は、オレの方を見てにこやかな顔をした後に、そのまま宝刀が封印されているとされる、北島神社の封印されし祠ほこらの方へ向かい、姿を消した。
出雲『なんだったんだ?一体・・・あの子は誰だ?気になるな・・・でもあの子が向かった先は・・・宝刀が封印されている祠のはず・・・・どういうことだ?まぁ、どうも胸騒ぎがする・・・よし・・・行ってみるか』
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妙な胸騒ぎを胸に秘め、それを確かめる為に宝刀が封印されいる北島神社の祠へ向かう出雲。果たして、北島神社の桜の樹で会った謎の少女の正体は・・・・何者であろうか?そして、祠へ向かう先にあるものは一体?!出雲が待ちかまえる運命とは?!
-次回へつづく-
※今回のキーワードは・・・・・・『出雲が悟った〇〇〇と〇〇〇』の中に隠しました。さて、君はもう答えが分かったかな?
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