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二人だけの隊商
「おい! 起きろって」
身体を大きく揺さぶられて、僕は目を覚ました。まだ半分寝ぼけ眼の自分の前にくりっとしたな大きな瞳が覗き込んでくる。
「ダン?!」
「しーっ、大声出すなって! みんな起きるだろ」
驚いて飛び起きようとした僕の口をダンが慌てて塞ぐ。強制的に息を止めさせられた所為か、夜更け特有のしんとした空気が肌に直接伝わってくる。
僕は、ダンの言葉に必死で首を上下させて頷いた。
「ったく、相変わらず鈍臭えなぁ」
呆れながら僕の唇を解放するダン。
ダンは僕の幼馴染だ。親同士が仲が良くて、赤ん坊の頃から一緒に育ったから幼馴染というよりは、もはや兄弟みたいなものなのだけれど。
ちなみに、ダンは商人兼運び屋の息子でダン自身も幼い頃から父親が組む隊商に参加している。
今回の旅は長旅だったらしく、こうして顔を合わせるのはとても久しぶりだった。
「おかえり、ダン」
僕がそういうと、ダンはとびきりのいたずらが思いついたようにニヤリと笑った。
「今日も行くよな?」
「もちろん!」
僕は二つ返事でダンの誘いに乗り、皆が寝静まっている家をそっと抜け出す。
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