三節【潤すため、満たすために】

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「少し整理しておこう」 ロザリアが言った。あれから移動はしていない。苔の光のお陰もあって、此処なら見通しが良いから取り敢えず安全だろうと、状況を纏めて今後の方針を決めることになった。 自然と主導するのはロザリアになっていたけれど、誰も異論は唱えなかった。センシェルとレオに挟まれて三人並んで、ボフォは念のため左の道に気を配りつつ話に加わる事を買って出てくれて、それならとキティカも反対の通路を監視してくれている。エルは「ふぃみあ、てぃーた」と言いながら、ずうっとロザリアに頬をむにいっと押し付けているし、結局やっぱりクニサキは皆とコミュニケーションを取ろうとはしないけれど、地面に座り込んだその距離は幾らか近付いてはいた。 「誰も此処が何処かは解らない。出口の方向も解らない。連れて来られた理由も解らない。我々には何か関係性があるのかもしれないが、それも皆目見当が付かない」 「じゃあ、解らないことばかりじゃないか」 キティカがあっはっはっと笑った。流石に笑ってる場合じゃないと思うけど。隣のセンシェルが面白くないといった様子で顔をしかめていた。 「しかし解らないことばかりとはいえ、だから何もしないで此処で考え続けるというわけにはいかない。先ずはこの通路の終わり・・出口を見つけ出すことだ。理由も場所も、その過程で自ずと判明してくるかもしれない」 「同感です。ロザリアさんは素晴らしい意見です」 「ありがとうボフォ。だがそこで、だ。移動を始めるより先に、確認しておかなければならない事がある。先程関係性の事を言ったが、皆も恐らく疑問には思っているだろう。我々には本来共通していなければならないものが、明確に共通してはいない」 「出身というか、世界の構成が全く違っている点だろう?」 「その通りだ。例えば私の知る世界というものは、四つの大陸を四つの王家が統治している。世界の大地を現す共通の地図を父が所有していたから、口頭で語られたものよりは信憑性は高いだろう。私も小さな頃からそれを用いて父から教育を受けていたからな。だが・・」
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