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喰え──
男が低い声で言った──
男の掌の上には、さっきまで生きていた──仲間だった者の腹部を裂いて取り出した【それ】がある──
喰え。そうしなければ、お前達もこの先生き残れない──
死にたくないなら、喰え。呑み込め。そして繋げ、知識を、経験を──
男がもう一度言った──
嫌だ──
おかしいよ、そんなの──
だってそれは人間の・・あの人の身体の中にあったもの──
気持ち悪い──
吐き気がする──
私には無理だ──
こんなの、異常だ──
じゃあ死ぬのか──
男が私達に尋ねた──
お前達も【これ】と同じ様に、こんなわけの解らない場所でただくたばって、故郷にも戻れずに此処で朽ちてゆく道を選ぶなら好きにすればいい──
【一線】を越えられない者は、此処では生きられない──
決断しろ──
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