1人が本棚に入れています
本棚に追加
深夜の怪物
月も星も闇に飲み込まれた夜空の下、1人の若い女が路地を歩いていた。
女は二十歳前半ぐらいで、ウェーブのかかった茶色の髪に、彫りの深い顔に濃いメイクをした派手な雰囲気の美女だった。
服装も大花柄のチェニックにタイトスカート、長身をより際立たせるハイヒールと華やかだ。
夜遊びの帰りか、女は酒に酔っていて足取りがおぼつかない様子だ。
女が突然、歩くのを止めて立ち止まる。
女の視線の先には道の真ん中に立つサラリーマン風の男がいた。
浅黒い顔に禿頭、好色そうな顔をした中年男だった。
「お姉ちゃん、これからどこ行くの?」
男が女に声をかけた。
明らかに下心のあるトーンの声だった。
「どこだっていいでしょ!!」
酔いも味方してか、女が強気な態度で答えた。
男がニヤリと不気味な笑みを浮かべた。
「なあ、おじさんと今から遊ばないか?」
そう言って男が女に近寄る。
「はあ?ふざけないでよ。変な事したら人を呼ぶから」
女は弱みを見せまいと強がったが、近寄ってくる男に恐怖を感じた。
だが、すぐに女は別種の恐怖に襲われることになる。
「グゲッ!!グゴゴゴゴゴッ!!」
最初のコメントを投稿しよう!