魔獣狩人

1/4
前へ
/8ページ
次へ

魔獣狩人

怪物は女の血肉や内臓を必死で貪っている。 だが、背後に何者かの気配を感じて怪物が振り返った。 そこには黒いレザーコートを纏った女が立っていた。 艶やかな黒髪のボブカット、物憂げな眼差し、すらりと高い鼻、赤いルージュを塗った唇、クールビューティーという言葉の似合う美人だ。 手にはボウガンを持っている。 「くっ…私が来るのがもう少し早かったら助けられたのに……」 怪物に食われた女の死体を見て、レザーコートの女が悔しそうに言った。 そして、悲しみを湛えた目には優しさがあった。 「誰だ?お前は?グヘヘ……お前も俺に食われに来たのか?」 怪物が下卑た笑みを浮かべた。 「ふざけるんじゃないよ。誰がアンタなんかに食われるもんか!!」 女は吐き捨てるように言った。 「私の名前はアレクサ!!アンタらみたいな怪物を狩るハンターだよ」 女は自己紹介すると同時にボウガンを怪物に目掛けて放った。 矢が怪物の右腕に突き刺さり、同時に激しい熱を帯びた。 「グギャオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」 怪物が悲鳴を上げる。 矢の刺さった怪物の右腕から煙が上がり、同時に肉の焦げる臭いが立ち上った。 「やっぱり銀の矢の威力はバツグンだねえ」 アレクサが呟いた。 銀には魔物を滅する力があるからだ。 しかも、アレクサの放った矢はただの矢ではなかった。 聖母マリアを模ったメダイを溶かして作った矢だったのだ。 その聖なる武器が怪物に触れた時、霊的化学反応が起きて怪物の肉が焼かれたのだ。 怪物は痛みを堪えながら矢を引き抜き、地面へ投げ捨てた。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加