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怪物が獰猛な叫びを上げながらアレクサに飛び掛かる。
「死ねぇ!!グルオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」
巨体からは想像もつかないスピードで、怪物が宙を飛びアレクサに迫る。
落下する怪物の重量と鋭い爪が、地面のコンクリートを砕いた。
アレクサは間一髪で後方に飛び、攻撃を交わした。
落下の風圧でコートが蝙蝠の羽のように、はためいた。
アレクサはコートのベルトを外し前を開けると、ベルトに下げたガラスの瓶を外し怪物目掛けて投げつけた。
瓶は怪物の顔面に命中し中の水が飛び散った。
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!何だ、これはッ!?」
怪物が苦悶の叫びを上げた。
水に触れた怪物の皮膚は激しい痛みに襲われ、熱を帯び、さらには火を上げて燃え上がった。
瓶の中身は聖水だった。
洗礼を受けた水は邪悪な者にとっては恐ろしい武器でもある。
「地獄へ帰りな・・・」
アレクサはそう呟くと銀色の閃光が闇を切り裂いた。
それと同時に、怪物の喉元から大量の血が噴き出した。
アレクサは一瞬の間に背中に隠した剣を取り出し、怪物を切り裂いたのだ。
怪物の首が地面に落ちた。
アレクサの手に握られているのは細身の剣、動きも軽やかなものだったが、その一太刀は怪物の肉と骨を容赦なく切断していたのだ。
首を失った胴体がフラフラと揺れたかと思うと、そのまま地面に叩きつけられた。
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