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Seg 00 プロローグ
「誰だろ……助けてもらおうとして叫んでる……」
傘をさした少年は空を仰いだ。
暗く重く、のしかかるような雲が空を覆いつくしている。
まだ昼中だというのに、夜のように暗い。
その雲が、さらに重いのだといわんばかりに大粒の雨を地上へと注ぎ込む。
それは叩きつけるような強さで、傘に穴が開くのではないかと心配になる。
道行く人の気分は憂鬱な夜の帰り道のようだ。
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