Seg 00 プロローグ

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 少年の黒い(かみ)は雨に()れ、その先から(しずく)がとめどなく(したた)っていた。  少年だけでなく、(かか)えていた布の包みまでずぶ()れであった。  突如(とつじょ)、少年はバランスを(くず)してその場に(たお)れる。  (あわ)てて起き上がり、包みを確かめた。布包みの隙間(すきま)から、少年よりもさらに小さな子供の寝顔(ねがお)(のぞ)く。  青い(かみ)の、小さな小さな、子供。  雨であるにも、少年の顔が暗いにもかかわらず、子供の表情は安らかだった。  その顔を見て、少年の表情は少しだけ(やわ)らぐ。
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