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暗闇の中に広がった雪原に道は無かった。
もう一度初心に帰ろう、と後ろを振り返る。
幾つもの新しい足跡が付いていて、
どれが自分のかさえ、わからない。
ねえ、そこの君、背中を丸めている、そう、君。
ねえ、私の歩いて来た道を憶えている?
勇気を出して聞いたのに彼は私と視線を合わせようともせずに追い越していく。後からやって来た新しい才能が私の足跡を次々に消していく。
背中に雪玉をぶつけられ、目が醒めた。
冷や汗をかいていた。
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