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第9話 飼い主さんのところに帰りたいにゃ…③
結局、南ちゃんは追い出されてしまった。午後の公園のベンチに座り、僕を腕に抱いて途方に暮れる南ちゃん。ベンチの前には大きなスーツケース。
「これからどうしよっかメル君…。もし飼い主さんが見つからなかったら、メル君は私とずっと一緒にいてくれる?」
いつも元気な南ちゃんも流石に落ち込んでいて、寂しそうな顔で僕にそう訊ねる。
「にゃ~ん…」
宗一郎が一番大好きだけど、南ちゃんのことも二番目に好きだよ。僕は精いっぱいのお詫びを込めて、彼女の手を舐めた。
「にゃー!にゃー!にゃー!」
丁度その時、公園の前を宗一郎の車が走っていくのが見え、僕は大声を上げた。
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