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僕の名前は浦島太郎
「浦島」という名字に付けてはいけない名前……それは間違いなく「太郎」だろう。
その名を付けられた子がどんな一生を迎えるか、想像に難くない。
名乗った瞬間に偽名と間違われ、初対面の人間に訝しげな顔をされ、最悪いじめられる可能性もある。
まあ仮に両親のどちらかが我が子にそのような愚名を付けようとしたら片方が止めるはずなのだが。
なのだが!
僕の名前は浦島太郎。
残念ながら父親は、母親の良いと言うものを全肯定する人だった。
クラスメイトに「おーい、『むかーしむかし』」と呼ばれたことがある。
それで振り返ってしまう僕自身にも嫌気がさす。
両親にペットをねだった時、猫か犬が欲しいと言ったはずなのだが、その年の誕生日プレゼントは亀だった。
箱を開けた瞬間に「???」で頭がいっぱいの僕に対して、両親は「浦島太郎だから亀にしたよ」とけらけら笑っていた。
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