眩しい笑顔は信じない!

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 社長に連れて来られたのはあまり使われてい無さそうな資料室、辺りを見回すとあちこち埃が溜まっているようだった。  こんな所にいったい何故? そう思っていると社長は棚の中から分厚いファイルを取り出し床へと落としながら私に笑いながらこう言った。 「じゃあコレとソレ、それにあのファイルの移動と整理も頼んでいいよね? その後はこっちの棚に並んでる資料を段ボールに詰めて、あっちの倉庫に運んでおいて?」 「ちょ、ちょっと待ってください。これって私一人でやるんですか、この量を?」  頼まれた棚にはぎっしりと分厚いファイルが並べられ、これの整理をするとしたらかなり時間がかかるはず。しかもこの重そうなのを段ボールに入れて運ぶなんて…… 「そう、今までここに来た白極(はくごく)君の秘書はみんなやってくれたよ。凪弦(なつる)ちゃんも出来るよね、あの白極君が根性があると褒めるくらいだから」  私を褒めた? あの白極さんが、そんなまさか。そう思ったけれど確かに根性があるだとか言っていたような気もする。  少しでも認められたのは嬉しいが、まさかこんな事をさせられるとは思ってもいなかった。さっさと資料室を出て行った社長の指示を頭に思い浮かべて仕事に取り掛かる。  スーツの上着はすぐに脱いでシャツは袖まくりする、少しでも作業がしやすいように。 「やってやろうじゃない、どうせなら社長だけでなく白極さんもビックリさせてやるわよ」  私は時間も確認するのを忘れ、そのまま作業に没頭したのだった。
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