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高瀬先輩と付き合うことになって初めての土曜日。
“彼氏”になった高瀬先輩と初デート。
彼氏…デート…。
ダメだ、金曜日ノー残業デーなのにすでに2時間も残業して身も心もボロボロ…なのに、ニヤける。
ひたすら休みなく600枚もの印刷をしてくれるこの無機質なコピー機にすら愛しさを感じてしまう。
それくらい、変だ、私。
でも冷静を装って一日を終わろうとしているし、気が抜けてニヤつくのは今みたいに一人きりで仕事してる時だけ。
誰かがコピー室に来る気配がして、背筋を伸ばして無表情を作り直した。
「おー、嶋岡さん、おつかれーっす」
浅井君にペコッと他人行儀の会釈をした。
「なんか変じゃない?今日の嶋岡さん」
いつも通りのつもりなんだけど。
「…何で?」
「え?だって昼過ぎくらいから落ち着きないからさー、いいことでもあるんだろうなぁ、って」
図星をつかれ膝から崩れそうな気持ちを立て直し、コピー機のボタンを押す浅井君の人差し指をジッと見た。
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