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「どうせ高瀬先輩が関わる話でしょ?ケガした時も送ってくれたし、わざわざ」
ピッと音がして、浅井君の方のコピー機が動き始める。
そしてボタンを押した浅井君の人差し指は私の顔を差した。
「図星でしょ」
「…え?コピーの音で聞こえない」
「そんなわけないでしょ!俺は嶋岡さんの声聞こえてるもん」
首を傾げて聞こえないふりをする。
タイミングよくコピーが終わって、紙の束を抱えた。
「これ製本したら帰るから私」
逃げるようにコピー室を出た。
出た瞬間、人影に気付いて避けた。
「すいません!」
ぶつからなくてよかった…前を見てない私の責任だ。
「あー、反射神経、日頃から鍛えといてよかった」
そう言ってヘラヘラ笑うのは、紙コップを片手に持った上田先輩だった。
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