好きまでの時間２

１．初デート

西園寺さんと２人きりは気まずい…と思ったのはエレベーターが動き出した一瞬だけだった。

すぐ下の階で止まる。

扉が開いたのと同時に乗り込んできた男性と西園寺さんがぶつかりそうになった。

「おっとすいません…あれ？嶋岡さん」

げっ、営業部の山田さん。

私がこの会社で唯一、会いたくないと思っている人。

というか気が合わないから苦手。

山田さんは私たちの間に立つ。

西園寺さんと２人きりなのは回避できたが、この３人で１階まで一緒なのはカオス。

誰一人喋ることなく無事に（？）１階に着いた。

「お疲れ様でした」

社交辞令の挨拶のあとエレベーターから降りた３人は蜘蛛の子を散らすように会社を出て行った。

足早に去る２人に少し遅れて会社を出た私は、空を見上げた。

星が見えているということは、明日は晴れるかな？

高瀬先輩が雨が好きでも初デートの時は晴れててほしいな。

無意識に緩む口元を隠すように俯き加減で家路を急いだ。