白に足あと

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白に足あと

~♪君の足あとたどりながら 一歩、一歩と急ぎあし もうすぐそこへ 着きますよ♪~ そんな歌を歌いながら、雪に残された足あとを辿っていく。 誰かの残した足あとたち。 真っ白な雪に付けられた凹凸の足あとスタンプ。そんなものを追いかけたことが、貴方にはあるだろうか。 さく、さく。じゃり、じゃり。ざくざくざく。積もった白い雪の道を行く。冷たく細かい氷の粒。足を着けた貴方の熱でそれらは溶け、水となって足下を濡らす。 後ろには貴方が着けた靴の跡。 前には誰かの残した足の跡。 それは進めと促しているようにも感じられるメッセージ。こっちに来いと、自分をつかまえてみろと、わざと残した其処へ至るためのヒント。 空には日が登り始めている。いずれ雪は溶け、その道には何も残らないだろう。 タイムリミットは刻一刻と近づいている。 貴方はだんだん急ぎ足になる。さくさく急ぐその足を、誰かの足あとは急げ急げと急がせる。早く来ないと消えちゃうぞ。貴方はとうとう駆け足となった。 貴方の目には、もうその足跡しか見えていない。 おいで、おいで。急げ! 急げ! 溶け始めた雪の道を貴方は駆け出した。 跡を付けた犯人が誰かも考えずに。
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