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先ほど感じた喜びはどこへやら。
栄子は目を吊り上げて案内人に詰め寄った。
「じゃあ何? 私たち、また同じことを繰り返すの? 真希と影野さんを結婚させようと意地になって、守と真希は何でもないことを知ってびっくりして、真希と奈緒美ちゃんの関係に仰天してひっくり返るってこと?」
困り顔の郷田を助けるように、「仕方がない」と明が口を入れる。
「また一から、頑張ろう」
「あなたはどうしてそんなに落ち着いていられるのよ!」
衝撃、イライラ、もやもや、不安を乗り越えて、やっと前向きで穏やかな気持ちになれたのに。
それをまた、一からやり直せって言うの?
憤怒する栄子の前で、郷田は「あ、もうすぐ時間です」と淡々と言って白い地面を指し示した。
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