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──そうだ。
また、真希と一緒にいられるのだ。
ご飯を食べたり、笑い合ったり、時に喧嘩をしたり。
あの何気ない日常に戻れる、生きていられる。
夫が言うように、それ以上の幸せは、他にない。
たとえここでの記憶を失っても、真希を愛する気持ちが消えてしまう訳ではない。
だから大丈夫。
どんなことがあっても、自分はきっとまた、真希のことを理解してあげられるはずだ。
スッと心が落ち着くのを感じ、栄子は郷田に頭を下げて謝った。
「ごめんなさい」
大丈夫ですよとにこやかに返してから、彼は夫婦に下を見るように促した。
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