3ー97

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3ー97

戦闘音が収まったからか、グロックが策敵で気付いてくれたのか こちらに来てくれた ミュウラも無事のようで二人は避難させた五人と共に現れたのだ 「先生がいるから心配はしてなかったけど………ヤバかったんだな」 リトス達の状況を見て相当大変だった事に気付いたのだろう ケロッとしてるのは教師一人 それ以外は完全に疲れ果てているのだから グロックはリトスとフリードに ミュウラはフォルティナに持っていた水筒を渡す 三人は煽るように一気に飲む 尋常ではないぐらいの汗が吹き出たのだ 水分はいくらあっても足りないぐらいだ この優しさは身体によく染みた 「よし!!俺は行く。残り頑張れよ」 そう言って去っていくルーファン リトス達はそれで構わなかった 完全に息を整え、何時でも旅立てる状況だった だが、襲撃された五人は違う 完全に心を折られてしまった 目は怯えきっており、身体は小刻みに震えている 動けないわけではないが、彼等はもう限界だった 「君達はどうするの?!」 リトスが優しく聞く 五人は顔を合わせ五人の意思はもう決まっているようだった この程度の恐怖を乗り越えられない 自分達は相応しくない そう察してしまった 「リタイアする。さよならだよ」 一人の男の子が代表して口を開く 先生から予め説明されていた リタイアしたい時は渡された腕輪に魔力を流せばいいと そうすれば先生達が直ぐに駆け付け助けてくれる だが、それは学園を去ることになる これは試練でもある この程度の試練を乗り越えれないようでは、この先の試練も乗り越えられない 恐怖をしてはならない訳ではない 恐怖をどう乗り越えるか それも試されてるのだ 英雄は誰も成し遂げなかったことをするから英雄 そして人々の希望を叶えるから英雄 魔物に襲われて逃げ、恐怖に怯えるのは英雄ではない 逃げてはならないのではない 恐怖に打ち勝たないとならない それが彼等には出来なかった 死の恐怖を乗り越えることが出来なかったのだった
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