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カタ
カタカタカタ
カタカタカタカタカタカタカタ
パソコンの前でひたすらゲームをする男
スペクタクル・ファンタジー・オンライン
通称SFO
そのゲームに熱中しているのだ
「よし。これでまたランキング1位。だれにも譲れねえ。今月100万近く使ったけど、1位なんだから全然構わないって」
ゲームの中はとあるイベントの真っ最中
そのイベントで1位を取るため
重課金していた
毎月毎月
終わることのないイベント
何かしらイベントが起きており
その全てのイベントで常に1位を取っていた
金額はその時々で違うのだが
今月はかなり課金していた
その額100万
途方もない金額だった
「って??気を抜いてる間に1位を取られてる!!ふざけんなよ。エメラルド買わないと………くそっ。ふざけんなよ」
カタ
カタカタ
カタカタカタカタ
手慣れた作業で課金する男
また数万円課金する
全く躊躇することなく
課金していくのだ
そんな時
不意に部屋の扉がノックされる
コンコン
「柚希。お昼ご飯作ったから………食べてね。ゲームしやすいようにサンドイッチにしたから」
「うっせぇ!!今大事なとこなんだよ。邪魔すんな。置いとけよ」
「ごっごめんなさい」
パタパタパタパタ
母親を怒鳴り付ける男
いや
柚希
完全に只の八つ当たりだった
柚希にはそんなこと関係なかった
ゲームが全てなのだ
扉を荒々しく開けて
サンドイッチを取り
パソコンの横に置く
そして食べ始める
「急がないと。もう少しでイベントが終わっちまう。その前に1位をキープしないと。早く。バヤグ………グフッ。グルジイ」
ドサッ
急にもがき苦しみ出す柚希
何が起きたのかわからない
全く理解が出来なかった
そんな時
部屋の扉がゆっくり開けられる
「………ごめんなさい。もうお金がないの。お母さんもお父さんも限界なの。許して。許して。許して」
柚希の前で泣き崩れる母親
ひたすら謝る声だけが耳元で囁かれ続ける
その声は意識を失うまで続いた
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