足あと

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あの話を両親としてからも研究のためにも森へ行かないわけには行かず前と同じ様に森へむかった。 しかし、リュウと出会うことは一度もなかった。毎回少しの期待を胸に向かうがその願いが叶う事はなかった。 約半年が過ぎ研究のために森に入るのは最後の日。就職はさらに自然のある田舎で決めたためこの山に入ること自体少なくなるだろう。 リュウと初めてあった時に行った小川に向かうと周りには霜が降っているところもあってあの時とはまた違う景色だった。だけどその中にあの日の暑そうなリュウが見えたような気がして周りを見渡すとあの日と同じ足跡を見つけた。 これを逃せば最後な気がして俺は必死にその後を追った。 「あーあ。見つかっちゃった?」 「…リュウ!」 草をかきわけながらてんてんとついた足跡を追った先には少しのびた気もする金髪の美しい人がいた。 どこにいたんだとか何してたんだとか言いたい事はたくさんあるのに口からは何も出てこずただリュウの元に走り寄って抱きしめていた。 「おれ、会いたかったよ。会いたかったんだ。」 「ぼくもだよ。シンの話たくさん聞かせて?」 少し我に返って慌ててリュウから離れると俺は半年の出来事を思い返しながら話した。このまま話し終わってしまえば次はリュウの番だろう。だけどリュウの話を聞いてしまえば一生会えなくなる気がして些細な事まで全て話し続けた。 「ねぇ、シン。僕の話も聞いて?」 「…わかった。」 「きっと信じてくれないと思うんだけどね、僕「森の神様なんだよね?聞いちゃったら俺、もうリュウに会えなくなるんだよね?そんなのやだよ。」 「ねぇ!違うの!いや、違うくないけど。確かに僕は森の神でこの森を守ってた。ずっと昔からシンの事も知ってたよ。この子は山を生き物を植物を大切にしてくれる良い子だなって思ってた。だけど半年前に大人になったシンを見て感謝するだけじゃなくてこの人の力になりたいと思ったんだ。だから足跡をつけてシンとであったの。」 「じゃあ何で半年もいなくなったんだよ。俺さみしかったよ。」 「シンとこの姿であって信用できる人だって思った。だから僕もシンを助ける準備をしてたんだ。僕はこの森の神だからここからいなくなってしまえば森が死んでしまう。そんなことシンも僕も望まないでしょ?だからこの森の神を任せられる神の子を連れてきてたくさんの事を教えてた。僕が、シンが大切にしてたこの森を守るために。ごめんね。」 「謝らなくていい。俺もごめん。」 「ううん。会いに来てくれてありがとう。」 「これからはリュウと一緒にいれる?」 「うん!もちろんシンが一緒にいていいならだけど…。」 「俺もずっとリュウと一緒にいたかったんだ!次は絶対にいなくなったりさせないから。」
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