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愛の形
決まって君のいる日は雨が降る。
後ろの君はいつも僕を追いかけてくる。あー、可愛い。僕に穴が空きそうなくらいずっと見ているのだ。
ある日僕が、大学の同じ学部の女性と話していたとき、後ろの君は僕に真っ黒な瞳を向けて通り際にこう言ったよね。
『私のなのに』
思わずゾクゾクしたよ。だって君が僕に初めて話しかけてきた日だから。その次の日、女性は事故にあったらしいね。
後ろの君はよく笑う。にんまりとこちらを見て、僕を瞳の中に縫い付けるように幸せに笑う。帰りの夜、君はまたにんまりと笑いながら僕を見つめている。君はそれが好きだよね。だから僕は君に話しかけてみようと思ったんだ。
「君のその瞳が好きだよ」
真っ赤にした目じりが可愛くて、そっと親指の腹で撫でる。君はその白い腕を伸ばし、僕の首に腕を回す。顔は首筋へと近づき、ちゅッとリップ音がなる。匂いを吸い込むように耳の裏まで...舌でちゅくちゅくとその穴を塞ぐ。首筋を這う君の指は、筋に沿って爪を立てられる。僕は君の腰に腕を回し、君の後頭部をグッと掴みその開かれた口に舌をねじ込む。控えめな君のものを絡め取り、頃合を見てその舌を吸い隙間を埋めるかのように奥へ奥へと、伸ばす。
はぁ、と口を離すとにんまり笑う君はすっとその場から消えていった。
しとしとと降る雨の中、ぱちゃぱちゃとそこには足音がなる。僕の他に誰もいないのに..
首筋につたう、真っ赤な水は雨と共に流れ落ち、それは止まることなく僕の意識を手放すのだった。
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