愛の形

1/1
前へ
/1ページ
次へ

愛の形

決まって君のいる日は雨が降る。 後ろの君はいつも僕を追いかけてくる。あー、可愛い。僕に穴が空きそうなくらいずっと見ているのだ。 ある日僕が、大学の同じ学部の女性と話していたとき、後ろの君は僕に真っ黒な瞳を向けて通り際にこう言ったよね。 『私のなのに』 思わずゾクゾクしたよ。だって君が僕に初めて話しかけてきた日だから。その次の日、女性は事故にあったらしいね。 後ろの君はよく笑う。にんまりとこちらを見て、僕を瞳の中に縫い付けるように幸せに笑う。帰りの夜、君はまたにんまりと笑いながら僕を見つめている。君はそれが好きだよね。だから僕は君に話しかけてみようと思ったんだ。 「君のその瞳が好きだよ」 真っ赤にした目じりが可愛くて、そっと親指の腹で撫でる。君はその白い腕を伸ばし、僕の首に腕を回す。顔は首筋へと近づき、ちゅッとリップ音がなる。匂いを吸い込むように耳の裏まで...舌でちゅくちゅくとその穴を塞ぐ。首筋を這う君の指は、筋に沿って爪を立てられる。僕は君の腰に腕を回し、君の後頭部をグッと掴みその開かれた口に舌をねじ込む。控えめな君のものを絡め取り、頃合を見てその舌を吸い隙間を埋めるかのように奥へ奥へと、伸ばす。 はぁ、と口を離すとにんまり笑う君はすっとその場から消えていった。 しとしとと降る雨の中、ぱちゃぱちゃとそこには足音がなる。僕の他に誰もいないのに.. 首筋につたう、真っ赤な水は雨と共に流れ落ち、それは止まることなく僕の意識を手放すのだった。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加