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プロローグ~異変~
「待ってた…… ずっと」
彼女は、彼を抱き締めてその背を撫で、甘く欲望に満ちた声で囁いた。
「もう、我慢できない……」
想いは、彼も同じだ。
事故で骨折し、入院していた2週間…… 家では片時も離れずにいた恋人に会えない日々は、辛かった。
彼は彼女に全ての愛情と忠誠心を捧げていたし、彼女もまた、そうだったからだ。
やっと退院できたのが一昨日。
彼らの忍耐はもう、限界だった。
「きて……」
ベッドに横たわり、開かれた脚の間から漂う濃密な匂いの元に、彼は躊躇なく顔を寄せる。
彼の少しざらつく長めの舌を彼女が気に入っていることを、彼はよく知っていた。
彼を興奮させる匂いを丁寧に舐めあげる度、彼女の口からは嬌声が漏れ、全身が扇情的に跳ね、よじれる。そして、滑らかで柔らかな二本の太ももの奥からは、同じ匂いの蜜がよりいっそう、溢れ出てくる……。
「あ、あ…… もうダメ……」
垂れる蜜を延々と舌で掬い、飲み干していると、やがて彼女は身体をひねるようにして、ベッドから降り、床に両膝をついて四つ這いになった。
その姿勢に、彼の興奮と喜びはいやが上にも高まる…… 獣のような体勢を彼女が取るのは 『好きなだけ繋がっていい』 しるしだからだ。
「お願い、挿れて……」
頼まれるまでも、ない。その背に軽くのしかかるようにしながら、彼のものを恋人の膣へと一気に押し込む。
--柔らかく纏いつくように締め付けてくる肉のひだ…… 温かい。気持ちいい。
「ああっ…… そこっ…… 気持ちいい……っ」
久方ぶりの快楽に彼は夢中になり、繋がったまま何度も射精した…… その度に彼女は達し、えもいわれぬ叫び声を上げた。
彼らは不在だった時間を取り戻そうとするかのように繋がり続け、果てた後も名残惜しくお互いを貪った。
異変が起こったのは、全てが終わり、彼女が仕事に行くために玄関に向かった時だった。
見慣れた後ろ姿が、不意によろめき、崩れるように倒れ込んだ。
「…… 苦しい」
胸を抑え、喉が不思議な音を立てている。
-- 助けなければ。
突然、苦しみだした様子にパニックに陥りながらも、彼はそれだけを念じ…… 戸口から飛び出すと、一心不乱に駆け出した。
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