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名を聞くと妖精はニーと答えた。
翼少年はその名を聞いた事がある。
妖精の島の主の末っ子で、年頃も合致していた。
狡猾だが可愛らしい反面もあり、主は溺愛しているという。
翼族の靴を【拝借】したと聞いて、翼少年はこの妖精がそのニーであると合点したのだ。
「妖精の主の息子なら、新しい靴を買うのは容易いんじゃないか?」
翼少年は皮肉を込めてそう言うと、ニーは目を見開いてこう返した。
「それはアレでしょうか?あなた様が王子様だからの発言でしょうか?私もあなた同様、あなたを知ってますよ。
いえいえ、私の失くした靴は大切な靴なんです。代わりの靴はありませんよ。翼様、あなたに足跡をわざと見せて導きました。あなたなら助けてくれると思ったからです」
狡猾とはよく言ったものだ。
翼少年はそれを聞いて大笑いをした。
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