翼少年と硝子の靴

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翼少年が湖底に着いた時、足裏に丸い石の様な物を踏んだ感触があった。 埋まってしまったそれを掘り起こすと、硝子の靴だ。 持って水上に上がり、翼少年はポケットに入れニーの様子を見ていたが、なかなか上がってこなかった。 翼少年はひとつ溜め息を吐くと、ニーを追って再び水中に入り、ニーもそれに気付いて翼少年に近付いた。 二人で水面に顔を出し、翼少年が頷いてニーの手を取り硝子の靴を持たせると、ニーは翼少年に抱き付いて喜んだ。 「翼様に頼んだのは、大正解です。本当に感謝します。先程の木の下で待っていて下さい。お礼の品を持って参ります」 ニーはそう言うと、喜び勇んで去っていった。 翼少年は言われた通り木の下で待っていると、程無くニーは戻ってきて、硝子の花を一輪手渡してきた。 「これは妖精の島にしか咲かない、貴重な花です。妖精の島の主が管理しています。一輪拝借して参りましたので、プレゼントさせて頂きます。この花は一度折ると二度と地上に落としてはなりません。粉々になりますから。夜は美しく発光します」 翼少年はそれを聞いて、また拝借かと苦笑したが、礼を言って受け取った。 確かに翼族の地では見た事のない、美しい花だった。
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