2人が本棚に入れています
本棚に追加
翼少年の住む星は温暖地であったが、ある冬に記録的な積雪があった。
雪に慣れていない住民たちは、飛ぶ事で大抵の移動をして過ごした。
翼少年は星の王子でも好奇心が強く、珍しい雪景色を見に沢山飛び回った。
ふと見付けたのは、人気のない丘に刻まれていた左右大きさの違う足跡であった。
不思議に思いその足跡を追っていくと、森の中へと続き、1本の大木で止まっている。
翼少年の気配に気付き、大木の穴から妖精が顔を出した。
「なんの御用ですか?」
妖精の問いに、翼少年は何故左右の足跡は大きさが違うのか?それを追ってここまで来たと伝えた。
妖精は出てきて、飛んだまま足を前に出した。
「丘の手前の湖に、誤って靴を片方落としてしまいました。小さな右足の硝子の靴と同じ物です。仕方なく翼族の靴を拝借して左だけ履いてますが、大きすぎてとても不便なのです」
妖精はほろほろと涙を溢しました。
最初のコメントを投稿しよう!