翼少年と硝子の靴

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翼少年の住む星は温暖地であったが、ある冬に記録的な積雪があった。 雪に慣れていない住民たちは、飛ぶ事で大抵の移動をして過ごした。 翼少年は星の王子でも好奇心が強く、珍しい雪景色を見に沢山飛び回った。 ふと見付けたのは、人気のない丘に刻まれていた左右大きさの違う足跡であった。 不思議に思いその足跡を追っていくと、森の中へと続き、1本の大木で止まっている。 翼少年の気配に気付き、大木の穴から妖精が顔を出した。 「なんの御用ですか?」 妖精の問いに、翼少年は何故左右の足跡は大きさが違うのか?それを追ってここまで来たと伝えた。 妖精は出てきて、飛んだまま足を前に出した。 「丘の手前の湖に、誤って靴を片方落としてしまいました。小さな右足の硝子の靴と同じ物です。仕方なく翼族の靴を拝借して左だけ履いてますが、大きすぎてとても不便なのです」 妖精はほろほろと涙を溢しました。
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