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「総務部と広報部って、外部との窓口を昔は今以上に協力してやってたから。
羽村さんとは、何度も一緒に仕事したことがある。
あの人も、よく軽く"若者がんばれ"って言ってきた。
……でもあの人は、そう言う代わりに転んだら絶対側に居てくれる。」
"僕が課長に、この件を保城さん達にも知らせるようお願いされていたのに失念していました。
申し訳ありません、早急に対応します。"
誰も傷つけたく無い。自分も傷つきたく無い。
だから、どんな時も曝け出すのが、怖かった。
「保城。」
「……はい。」
「…失敗しても良いよ。言いっぱなしにはしない。
ちゃんと、俺たちがいる。
だから、これからも一人で勝手に諦めてばっかりじゃ無くて、うまく上司を使いなさい。」
「…っ、はい。」
____でも。
その怖さから、勇気を出してちょっと踏み出したら。
涙が出るほどに、
心強い言葉に出会えるかもしれないし、
ずっと見守ってくれてた存在を
知れるかもしれないし、
お煎餅とか、お饅頭とか、ご褒美も貰えるかも。
そして何より、自分をちょっと認められる気がする。
だから。
“俺は新しい道を見つけました。"
____私は、これからまた新しく踏み出すあの男にも
同じことを言ってあげたい。
こんな時も結局1番思い出される存在に、気持ちに、嫌でも気づいてしまう。
涙を拭う中でそれを認めていると、
「結局、保城引き抜くの失敗して笠下達にめっちゃ怒られそう。」
と気まずそうに溜息を漏らす香月さんが珍しくて、少し笑ってしまった。
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