These05.

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「南雲さん。 私は南雲さんと2人でご飯に行ったりは、もう出来ません。」 真っ直ぐ向き合って告げた言葉が、震えてしまう。 「……この間、俺が誘った時。 まだ保城さんの中で迷いがあった気がしたから。俺は入る隙あるかなと思ってたけど。 もう、可能性はゼロ?」 "保城さん。 その迷いに、まだ甘えて良い?" "どうしようかなって悩んでくれる余地があるなら、俺はまだ、引きたくは無い。" 切なさを表情に浮かべる彼を見ると、胸はズキンと大きく痛む。 今までの殆どの恋愛は、 全て自分で、把握していた気がする。 __この人は、きっと私を好きになってくれる。 だから私からも、もっと近づいて大丈夫。__ なるべく誰も傷つけない、自分も傷つかない。 そうやって得てきた恋の全てを、 否定するわけでは無いけど。 三白眼を細めた人懐っこい笑顔、 本気度が伝わりにくい、ふざけた口調、 目がチカチカする白に近いアッシュの髪。 勝手に私の心に土足でズカズカ踏み込んできて、 笑って缶ビールとサキイカを渡してくるあの男。 私の迷いは、もうとっくに ___"久箕 梓雪のことが、好きか否か" それを認めるかどうかだけだった。 「…どうしても、手を伸ばしたい人がいます。」 目の前にいる彼を、傷つけてしまうかもしれない。 それでも。 こんな風に痛みを伴ってまで、あの男へ向かうはじめての衝動を私は手放せない。 手放したく、無い。
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