These05.

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「保城さん、ごめんなさい。」 「え…?」 そして予想外に、先に謝罪されてしまった。 どうして、桝川さんが謝るの。 とっくに濡れた瞳のまま、心で問いかけながら改めて彼女に視線をやると、桝川さんの方がぽろっと一筋涙をこぼした。 「…私、逆だったら、祝福なんか出来ない。 そんな話されても反応にきっと困るし、もしかしたら腹も立つかも。 保城さんに伝えるのは、ただの自己満だって、もうお会いすべきじゃ無いかもって、思おうとしたのに。 ……私は諦められず、保城さんを飲みにお誘いしてしまいました。 瀬尾とのことの他に、言いたいこともあって…、」 「言いたいこと…?」 一度溢し始めたら止まらなくなったのか、流し続ける涙もそのままに枡川さんは頷く。 「…"定期的に、飲みに行ってくれませんか。" あの日の帰り際、そう言おうとしたんですが、無理でした。」 "…保城さんは、向こうの駅ですか?" "はい。では此処で。ありがとうございました。" "…あ、" "?どうかされましたか。" "…いえ、何でもないです。" "プロジェクト、最後までどうぞよろしくお願いします。" 何それ。 そんなこと、言ってくれないと全然、分からない。 「プロジェクトが終わって、保城さんとお会いできなくなるのは、辛いです。 会社にお邪魔することも減ってしまって、既に寂しくて、重い手紙も書きました。」 もうすっかり頬を濡らす涙を、おしぼりでぐいっと拭う彼女を見守りながら、少し時間をかけて、漸く彼女の予想外の告白を咀嚼した。 そして、それを終えたら、空気を吐くと共に笑みが漏れた。 なんなの、この人は。
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